一回の数字に振り回されず、「流れ」で見る
米国の雇用統計は、米労働省の労働統計局(BLS)が、原則として毎月第1金曜日の午前8時30分(米国東部時間)に公表する、労働市場の統計です。市場では、毎月もっとも注目される経済指標のひとつです。
この3つに、労働参加率を加えた4つを見るのが基本です。
2026年10月2日に公表された9月分は、次のとおりでした。
| 項目 | 2026年9月 | 前月 | 見方 |
|---|---|---|---|
| 非農業部門の雇用者数(前月比) | +2.9万人 | +13.3万人(改定後) | BLS自身が「ほぼ横ばい」と表現。単月では判断しない |
| 失業率 | 4.2% | 4.1% | 前月から0.1ポイント上昇。小さな動き |
| 平均時給(前年比) | +3.0% | +3.1% | 前月比は+0.1%。伸びは鈍化 |
| 労働参加率 | 61.8% | 61.6% | 働く意思のある人の割合。BLSは「ほぼ変わらず」 |
| 前月・前々月の改定 | 7月 −3.1万人、8月 −2.9万人 | 合計で6万人の下方修正。数字は後から変わる |
出典:米労働省労働統計局「The Employment Situation — September 2026」(2026年10月2日公表)。
雇用の増加が大きかったのは、医療(+1.7万人)、建設(+1.1万人)、製造業(+0.9万人)。減少は、金融(−0.7万人)でした。
速報の数字に、市場は大きく反応します。しかし、長期で保有する人にとって重要なのは、「雇用の増加が、数か月から1年の単位で、どの方向に向かっているか」です。
失業率は4%台前半で、大きくは動いていません。雇用の増え方は鈍いものの、FRBの声明は、雇用の増加は労働力の伸びに見合っている、としています。
賃金の伸びは、1年前より落ち着いてきました。一方で、物価の伸びのほうが大きいため、家計の購買力は目減りしている状態です。個人消費に影響しうる点として、長期投資家が注目する理由のひとつです。
FRBは、2026年9月16日のFOMCで、政策金利の誘導目標を3.50〜3.75%から3.75〜4.00%に引き上げました(賛成12、反対0)。声明では、「物価の伸びは高止まりしている」と表現しています。
出典:FRB「Federal Reserve issues FOMC statement」(2026年9月16日)、FRED。
| 見る順番 | 何を見るか | 見方のポイント |
|---|---|---|
| ① 雇用者数 | 前月比の増減と、直近3か月の平均 | 単月でなく平均で。前の2か月の改定も一緒に見る |
| ② 失業率 | 水準と、数か月の方向 | 0.1ポイントは誤差の範囲になりうる。方向が続くかで見る |
| ③ 平均時給 | 前年比の伸び | 物価の伸びと比べて、実質で増えているか |
| ④ 労働参加率 | 働く人の割合 | 失業率が下がっても、参加率が下がっていれば中身は弱い |
| ⑤ 政策金利との関係 | FRBが物価と雇用のどちらを重く見ているか | 数字そのものより、金利の見通しがどう変わるか |
| 日付 | イベント | 見る点 |
|---|---|---|
| 2026年10月27〜28日 | FOMC(連邦公開市場委員会) | 9月の利上げ後の判断と、声明の表現(物価・雇用) |
| 2026年11月6日 | 雇用統計(10月分) | 9月分の改定と、直近3か月の平均がどう変わるか |
| 2026年12月4日 | 雇用統計(11月分) | 3か月の流れが、ひとつの方向に定まってきたか |
| 2026年12月8〜9日 | FOMC(経済見通しを公表) | 政策金利の見通しと、失業率・物価の予想 |
出典:BLS「Employment Situation Release Schedule」、FRB「FOMC Calendars」。日程は変更されることがあります。
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