3行でいうと
- 過去約551通り(1980〜2025年)で比べると、12か月では、一括投資が積立を上回った割合は、S&P500で76%、日経平均で60%。平均では、一括のほうが有利。
- ただし、勝ち負けは「その後の1年が上昇か下落か」でほぼ決まる(上昇なら一括が89%、下落なら23%)。投資する時点では分からない。
- 最悪のケースは、一括で-45%、積立で-35%。平均の有利さと、最悪時の傷の浅さの、どちらを取るかは、人によって違う。
1. 何を比べたか
手元にまとまった資金があるとき、「一括で買う」か「何か月かに分けて買う」か。よくある疑問を、過去のデータで比べました。
- 一括:最初の月に、全額を買う。
- 積立:同じ金額を、毎月の最初の営業日に、均等に分けて買う(買っていない分は、現金のまま、利息なし)。
- 評価:期間の最後の月末に、評価額を比べる。
- 対象:S&P500と日経平均。1980年1月〜2025年11月の、すべての開始月。
2. 結果:平均では、一括が有利
一括投資が、積立投資を上回った割合(%)
1980年1月〜2025年11月の各月を開始月として、約551通りを比較(期間は、投資を終えて評価するまでの月数)。出典:株価データ(日次終値、価格指数)。12か月では、S&P500で76%、日経平均で60%。
| 指数・期間 | 一括が上回った割合 | 平均の差(一括−積立) | 最悪の開始月のリターン(一括/積立) |
|---|
| S&P500 12か月 | 76% | +5.0ポイント | −45% / −35% |
| 日経平均 12か月 | 60% | +3.4ポイント | −49% / −37% |
出典:株価データ(日次終値)。価格指数で、配当、為替、税、手数料は含みません。現金の利息をゼロとして計算しています。
理由は単純で、株価は長い目で見ると、上昇してきたためです。早く投資した分だけ、上昇の恩恵を受けやすくなります。米国は、日本より上昇した期間が長いため、差が大きく出ています。
3. 勝ち負けを分けるのは、「その後の1年」
その後の1年が「上昇」か「下落」かで、一括の勝率は変わる(S&P500・12か月)
一括投資が積立を上回った割合。開始から12か月後に株価が上昇していた79%のケースでは89%、下落していたケースでは23%。勝ち負けを分けるのは、投資する時点では分からない「その後の値動き」。
一括が不利になるのは、投資した直後に下落したときです。逆に、積立が不利になるのは、投資した直後から上昇が続いたときです。どちらになるかは、投資を始める時点では、誰にも分かりません。
4. 時期で見ると、有利・不利は入れ替わる
「一括 − 積立」の12か月リターンの差(ポイント、開始月ごと、S&P500)
ゼロより上は一括が有利、下は積立が有利だった開始月。平均では一括が約5.0ポイント有利ですが、大きく不利になる時期(ITバブル、リーマン、2022年など)もある。
4つの開始月での、12か月間のリターン(%、S&P500)
同じ金額を、開始月に一括で買う場合と、12か月で均等に積み立てる場合。ラベルは開始月。下落が続いた2007年10月・2022年1月は積立が、大きく上昇した2009年3月は一括が有利。2020年2月は、急落のあとの上昇で、積立がわずかに上回った。
- 2007年10月(高値の月):一括は−25%、積立は−16%。積立のほうが傷が浅かった。
- 2009年3月(底の月):一括は+58%、積立は+16%。一括が圧倒的に有利だった。
- 2022年1月:一括は−20%、積立は−7%。下落が続いたため、積立が有利。
5. 現実には、「選べる人」は限られる
この比較が当てはまるのは、手元にまとまった資金があり、投資に回せる場合です。毎月の給与から投資する場合は、収入が入るたびに買うことになり、結果として積立になります。
長期で投資を続けるうえで大切なのは、どちらが成績で上回るかよりも、下落したときに続けられるかです。積立は、下落局面でも「買い続ける」仕組みとして、続けやすいという面があります。
6. 長期投資家は、どう受け止めるか
- 「どちらが優れているか」ではなく、「どちらが自分に合うか」。統計は平均を示すだけで、1回の投資の結果を約束しない。
- 最悪のケースを、想像しておく。一括で買った直後に、−25%を超える下落があっても、続けられるか。
- 積立は、タイミングを分散する方法。安く買える可能性を残す代わりに、上昇局面では取り逃しもある。
- 期間を決めて、迷いを減らす。分けるなら、期間(例:6か月、12か月)を最初に決めておく。
この記事は、特定の売買や、投資の方法を勧めるものではありません。過去の値動きは、将来を約束するものではありません。
7. 状況別の、考え方の整理
| あなたの状況 | 傾向 | 注意点 |
|---|
| 手元にまとまった資金があり、長く保有できる | 統計では、一括が上回る割合が高い(平均で見て有利) | 下落のタイミングで買うと、大きく含み損になる可能性(最悪−45%) |
| 下落の最中に、含み損を見るのがつらい | 積立は、最悪のケースの傷が浅い(最悪−35%) | 上昇局面では、一括より成績が劣る傾向 |
| 毎月の収入から投資する | そもそも選択肢は「積立」。収入が入るたびに買うことになる | 「一括の資金」が手元にないなら、この比較は当てはまらない |
| 資金が一時的に入った(ボーナス・退職金など) | 一括か、数か月に分けるかを選べる | 迷うなら、期間を決めて分けるのも、ひとつの考え方 |
8. この比較の前提と限界
- 価格指数で、配当を含みません。配当を含めると、一括・積立ともに成績は上がります。
- 現金の利息をゼロとして計算しています。利息があると、積立の成績は少し上がります。
- 為替は含みません。日本の個人が米国株に投資する場合は、為替の影響も受けます。
- 開始月は、重なり合っています。独立した551回の結果ではありません。
- 税、手数料、投資できる金額の制約は含みません。
自分の資産を、主要指数と比べる
オルカン・S&P500・日経平均などの主要指数と、起点を100とした推移で重ねて比較。入金のタイミングを除いた値動きも見られます。
出典
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