3行でいうと
- 毎月5万円を20年積み立てると、年率の仮定ごとに、年3%で約1,642万円、年5%で約2,055万円、年7%で約2,605万円(元本は1,200万円)。年率は予想ではなく、仮定。
- 「20年続ければ元本割れしない」を過去のデータで確かめると、S&P500は全開始月で元本を上回った一方、日経平均は42%の開始月で元本割れ。市場と開始時期で、結果が違う。
- FIREの目標額(年間支出の25倍)に届くには、年間支出300万円(7,500万円)なら、年5%の仮定でも、30年なら月9万円、20年なら月18万円が必要。
1. この記事でやること
積立投資について、よく聞く2つの疑問を、数字で確かめます。
- 疑問A:月いくらを、何年積み立てると、いくらになるのか。
- 疑問B:「20年続ければ元本割れしない」は、本当か。
さらに、FIREの目標額に届くために、月いくら必要かも試算します。
2. 疑問A:月いくらで、いくらになるか
毎月一定額を積み立て、一定の年率で運用できたと仮定した、単純計算です。年率は予想ではなく、「もしこの水準なら」という仮定です。
月5万円を20年積み立てた場合の評価額(万円、年率の仮定ごと)
毎月5万円を、月末に積み立て、毎月複利で運用したと仮定した単純計算(税・手数料なし)。20年後の評価額は、年3%で約1,642万円、年5%で約2,055万円、年7%で約2,605万円(元本は1,200万円)。年率は予想ではなく、仮定の例です。
| 毎月の積立額 | 元本 | 年1% | 年3% | 年5% | 年7% |
|---|
| 月3万円 | 720万円 | 797万円 | 985万円 | 1,233万円 | 1,563万円 |
| 月5万円 | 1,200万円 | 1,328万円 | 1,642万円 | 2,055万円 | 2,605万円 |
| 月10万円 | 2,400万円 | 2,656万円 | 3,283万円 | 4,110万円 | 5,209万円 |
20年間の評価額。毎月末に積み立て、毎月複利で運用した単純計算(税・手数料・インフレは考慮していません)。
注目したいのは、年率が1〜2%違うだけで、20年後の金額が数百万円変わることです。逆に言えば、年率は大きな不確実性です。次の疑問Bで、実際のデータを見ます。
3. 疑問B:「20年続ければ元本割れしない」は本当か
仮説を、過去のデータで確かめます。1980年〜2006年の各月を開始月として、20年間、毎月同額を積み立てた場合の「評価額÷元本」を、S&P500と日経平均で計算しました(各323通り)。
20年間、毎月積み立てた場合の「評価額÷元本」(倍、開始年ごと)
横軸は、積立を始めた年(その20年後に評価)。点線は元本(1.0倍)。価格指数ベースの単純計算で、配当・為替・税・手数料は含みません。S&P500は、すべての開始月で元本を上回った一方、日経平均は元本割れの開始月が多い。
| 指数(20年の積立) | 最悪の開始月 | 中央値 | 最良 | 元本割れした開始月の割合 |
|---|
| S&P500 | 1.07倍(1989年3月開始) | 2.37倍 | 5.6倍 | 0% |
| 日経平均 | 0.48倍(1983年5月開始) | 1.13倍 | 4.2倍 | 42% |
出典:株価データ(日次終値、価格指数)。配当・為替・税・手数料は含みません。開始月は重なり合っており、独立した結果ではありません。
- S&P500は、仮説が成り立った。最悪の開始月(1989年3月)でも、1.07倍と、元本を上回った。
- 日経平均は、仮説が成り立たない。元本割れの開始月は42%。1980年11月〜1986年と、1987年12月〜1993年4月に始めた場合は、20年後も元本を下回った(バブル期に買い進め、その後の長い低迷にあたった)。
- 2000年以降に始めた場合は、日経平均でも元本を上回っている。ただし、2006年開始までのデータで、それ以降の結果はまだ出ていない。
「20年続ければ大丈夫」は、どの市場を、いつ始めるかによって、成り立つこともあれば、成り立たないこともある。長期でも、不確実性はなくなりません。
4. FIREの目標額に届くには、月いくら必要か
FIREに必要な金額の目安は「年間支出の25倍」(4%ルール)。この目標額に、一定の年率で届くために必要な月額を、逆算しました。
| 目標額(年間支出の25倍) | 20年・年3% | 20年・年5% | 30年・年3% | 30年・年5% |
|---|
| 3,000万円(年間支出120万円) | 月9.1万円 | 月7.3万円 | 月5.1万円 | 月3.6万円 |
| 5,000万円(年間支出200万円) | 月15.2万円 | 月12.2万円 | 月8.6万円 | 月6.0万円 |
| 7,500万円(年間支出300万円) | 月22.8万円 | 月18.2万円 | 月12.9万円 | 月9.0万円 |
毎月積み立て、毎月複利で運用した単純計算(現在の資産はゼロとして計算。税・手数料・インフレは考慮していません)。
- 目標が大きいほど、そして期間が短いほど、必要な月額は大きくなる。
- 期間を20年から30年に延ばすと、必要な月額は、およそ半分〜6割になる。
- すでに資産がある場合は、必要な月額は、この表より小さくなる。
5. 長期投資家は、どう受け止めるか
- 年率は、約束ではない。計算に使う年率は仮定で、結果は大きく変わる。1つの数字で決めず、複数のシナリオで見る。
- 「期間」を味方にしても、「市場」の違いは残る。20年でも、元本割れした例がある。
- 必要な月額を、逆算してみる。目標額、期間、年率を変えて、無理のない範囲を探る。
- 定期的に見直す。資産の増え方が、想定より速いか遅いかで、計画は変わる。
この記事は、特定の売買や、積立の金額・方法を勧めるものではありません。計算結果は、仮定に基づく試算で、将来を約束するものではありません。
6. この試算の前提と限界
- 年率は、仮定です。実際の運用成績は、毎年変動します。
- 税、手数料、インフレは考慮していません。実質的な購買力は、これより小さくなります。
- 過去データは、価格指数で、配当・為替を含みません。配当を含めると、成績は上がります。
- 開始月は重なり合っていて、独立した結果ではありません。
- 積立額を一定として計算しています。実際には、収入に合わせて変わります。
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