COLUMN · 個別銘柄

トヨタの決算を、
長期投資家の目線で読む

円安で守った利益と、これから数年で見るべきマイルストーン

作成 2026年10月13日情報の時点 2027年3月期 第1四半期決算(2026年8月4日発表)
この記事について 特定の銘柄の売買を勧めるものではなく、公開資料の内容と「長期で何を見ればよいか」を整理した情報提供です。数値・時期は会社の開示資料に基づき、末尾の出典で確認できます。投資の判断はご自身の責任でお願いします。 この記事は、公開資料をもとにAIが作成しています。誤りに気づかれた場合は、support@fire-app.jpまでお知らせください。

3行でいうと

  • 2026年4〜6月は、売上が過去最高水準に伸びた一方、営業利益は前年同期比で△8.8%。円安の追い風(+3,450億円)がなければ、実質的に減益。
  • 通期の営業利益見通しは3兆4,000億円に上方修正されたが、前期(3兆7,662億円)より少なく、円安で守っている面が大きい。
  • 長期で見るのは、HEVの増産・北米の採算・生産体制の再編・BEV・ROE・為替に頼らない稼ぐ力の6項目。

1. 今回の決算(2027年3月期 第1四半期)

2025年4〜6月2026年4〜6月前年同期比
営業収益12兆2,533億円13兆5,254億円+10.4%
営業利益1兆1,661億円1兆634億円△8.8%
営業利益率9.5%7.9%
親会社に帰属する四半期利益8,413億円1兆4,770億円+75.6%
為替(1ドル)145円160円15円の円安

出典:2027年3月期 第1四半期決算(2026年8月4日発表)。

売上は伸びたのに利益が減った理由は、会社の資料にあります。営業利益の増減は、為替+3,450億円、営業面の努力+700億円に対して、原価改善△850億円、諸経費の増加△1,900億円、その他△2,426億円。為替の効果を除くと、営業利益は約△2,050億円の減益です(会社資料)。

営業利益はなぜ減ったか(2026年4〜6月 vs 前年同期)
11,661前年同期+3,450為替+700営業面の努力-850原価改善-1,900諸経費-2,426その他10,634今期
単位:億円。出典:決算説明資料。為替の+3,450億円を除くと、約△2,050億円の減益(会社資料)。
損益計算書をウォーターフォールグラフで(2026年4〜6月)
10,634営業利益+9,003営業外損益19,638税引前利益-4,121法人税等15,517四半期利益
単位:億円。営業収益は13兆5,254億円。四半期利益は非支配持分を含む(親会社帰属分は14,770億円)。出典:決算短信。営業利益は減ったのに、営業外損益(+9,003億円、前年同期は+860億円)が増え、純利益は+75.6%。本業の力は営業利益で見るのが基本。
電動車の比率 — トヨタ・レクサス販売(4〜6月、千台)
HEVPHEVBEVその他2025年4〜6月1,1601,389合計 2,6432026年4〜6月1,2381,142合計 2,552
出典:決算説明資料。電動車比率は47.4% → 55.3%。BEVは47千台から114千台へ(2.4倍)。

2. 通期見通しと株主還元

2027年3月期(通期見通し)前回見通し今回見通し(2026年8月)前期実績
営業収益51兆円54兆円50兆6,849億円
営業利益3兆円3兆4,000億円3兆7,662億円
親会社に帰属する当期利益3兆円3兆2,500億円3兆8,480億円
1株あたり配当100円100円95円
為替の前提(1ドル)150円160円151円

出典:同決算の説明資料。見通しには令和8年熊本地震の影響は織り込まれていません(会社資料)。

通期の営業利益:前期と、今期の見通し
37,662前期実績(2026/3期)30,000前回見通し34,000今回見通し
単位:億円。出典:決算説明資料。今期見通しは前期より少ない。
通期の営業利益見通しは、なぜ上がったか(前回 → 今回)
30,000前回見通し+4,800為替+2,300営業面の努力-1,200原価改善-500諸経費-1,400その他34,000今回見通し
単位:億円。縦軸は26,000億円から表示(途中を省略)。出典:決算説明資料。上方修正(+4,000億円)の主因は、為替前提の見直し(+4,800億円)。

見通しは上がったが、中身は為替。今回の上方修正(+4,000億円)のうち、為替の前提の見直し(150円→160円)が+4,800億円を占めます。為替以外は、営業面の努力などの積み上げです。

株主還元は強化。自己株式の取得枠は上限1兆円(市場買付)、2億株を消却(発行済株式総数の1.37%)。年間配当の予想は100円(前期95円)です。会社は、ROE20%を「ひとつのモノサシ」として、稼ぐ力と資本効率を高めると説明しています。

3. 長期でこれから見るべきこと(マイルストーン)

決算ごとの増減益より、「数年かけて何が実現すると、稼ぐ力が上がるのか」を見るほうが、長期の判断には役立ちます。会社が示した計画を、確認の目印にします。

マイルストーンを時間軸で見る
2026年2027年2028年2029年2030年①③①③③①2026年HEV販売が初めて500万台超(計画)③2026年インド第3工場が稼働①2027〜28年日本のHEV電池ラインを次世代電池へ切替③2029年インド第4工場が稼働(年10万台)③2030年タコマ工場が稼働(年15万台)
会社の説明資料にある計画。番号は、表のマイルストーンに対応。時期は目標であり、保証ではありません。ROE20%は時期の明示がない目標です。
確認すること会社が開示している内容見る指標外れた場合
① HEV(ハイブリッド)の増産と電池2026年にHEV販売が初めて500万台超の計画。日本では2027〜28年に60万台規模のHEV用電池ラインを次世代電池へ切り替えHEV販売台数、電池の生産能力と原価需要に供給が追いつかない、または原価が下がらず利益率が伸びない
② 北米の採算2026年4〜6月は営業利益1,854億円(前年同期は211億円の赤字)。価格改定・為替・関税の低減が寄与北米の営業利益、関税の動向、価格改定の通りやすさ関税や需要の変化で、再び赤字に
③ 生産体制の再編米国:テキサス第2工場(2026年7月公表)、タコマ工場で年15万台(2030年稼働)。インド:第3工場(2026年稼働)と第4工場(2029年稼働)で合計年20万台各工場の稼働開始時期、投資額、現地需要立ち上げ遅れ、需要の読み違いによる稼働率低下
④ BEV(電気自動車)の位置づけ2026年4〜6月のBEV販売は11.4万台(前年同期の2.4倍)。ただし通期見通しは59.8万台から53.3万台へ引き下げBEV販売台数、BEV事業の採算、競合との価格差BEVの競争力不足、または普及の遅れ・加速のどちらに振れても、HEV一本足の見直しが必要になる
⑤ 資本効率(ROE 20%)ROE20%を「ひとつのモノサシ」に。自己株式の取得枠は上限1兆円、2億株(発行済の1.37%)を消却ROE、自己株式の取得の進み具合、純資産成長投資と還元のバランスが崩れ、資本効率が改善しない
⑥ 為替に頼らない稼ぐ力為替・スワップ等の影響を除いた通期営業利益は前期比で約△7,850億円(会社資料)為替を除いた営業利益、原価改善、バリューチェーン収益円高に振れると、利益が急に目減りする

出典:同決算の説明資料・決算短信。表は筆者が整理。

ポイントは、HEVの増産(①)と北米の採算(②)が、為替に頼らない利益の柱になれるか(⑥)です。為替の影響を除いた営業利益が回復していくかどうかが、決算を読むうえでの大きな分かれ目になります。

4. 気をつけたいこと

5. 財務の体力と、この1年の株価

貸借対照表(2026年6月末)
資産 102.6兆円負債・資本 102.6兆円資産合計1,026,351億円資本合計382,289億円負債合計644,062億円
単位:億円(図は億円表示)。親会社所有者帰属持分比率は36.4%(2026年3月末は37.8%)。出典:決算短信。
この1年の株価の推移(終値、円)
3,0003,5003,9442,6862025/10/142026/10/13
出典:株価データ(日次終値、2026/10/13時点)。1年間の安値は 2,686円、高値は 3,944円。

自己資本の厚さ(親会社帰属持分比率 36.4%)は、成長投資と株主還元を両立するための土台です。株価は為替や関税のニュースで動きやすい面があります。

6. 長期で積み立てる人にとって

トヨタは、日本株の代表格として多くの人のポートフォリオに入っています。個別の売買の判断はここでは示しません。ひとつの見方として、決算の増減益に一喜一憂せず、「為替を除いた利益が戻るか」「HEVと北米が育つか」という数年単位の変化を、年に1〜2回点検する。配当や自社株買いが、長期保有の下支えになる面もあります。

7. 次に確認する時期

気になる銘柄は、ウォッチリストで見守る

保有前の銘柄も、価格と値動きをリストで一覧。気になる銘柄を、みんなでFIREのウォッチリストに入れておけます。

ウォッチリストを見るComing Soon · App Store

出典

更新履歴