ひとことで
- PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標。会社が持つ「帳簿上の資産」を基準にした、株価の水準。
- 計算式は、PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)。1倍が、ひとつの目安。
- 1倍割れ=割安、とは限らない。資産を使って、どれだけ利益を生む会社かも、あわせて見る。
1. 計算のしかた
まず、1株あたり純資産(BPS)を求めます。純資産は、会社の資産から負債を引いた、株主のものとされる部分です。
BPS(円)= 純資産 ÷ 発行済株式数(自己株式を除く)
株価が1,500円で、BPSが1,000円なら、PBRは1.5倍です。
PBR(倍)= 株価(円)÷ BPS(円) → 1,500 ÷ 1,000 = 1.5倍
PBRが1倍なら、株価は、帳簿上の純資産と同じ水準です。純資産は決算書(貸借対照表)の数字なので、PBRは、株価を、決算書の「資産の厚み」と比べる指標といえます。
2. 例で見る(架空の3社)
説明のための、架空の3社です。同じPBRでも、背景はさまざまです。
PBRの比較(架空の例)
説明のための架空の数字です。実在の企業のものではありません。
- A社(PBR 3.0倍):純資産に比べて、高い利益を生んでいて、さらに成長すると期待されている。
- B社(PBR 1.2倍):利益は安定していて、株価は、純資産を少し上回る水準。
- C社(PBR 0.7倍):純資産に対して、利益が小さい。資産は多くても、それを活かせていないと見られている。
3. PBRは「PER × ROE」でもある
PBRは、次のように分解できます。
PBR = PER × ROE
- PER:株価が、1株あたり利益の何倍か。
- ROE:純資産に対して、どれだけ利益を出したか(自己資本利益率)。
例えば、PERが20倍、ROEが10%(0.1)なら、PBRは、20 × 0.1 = 2.0倍です。つまり、PBRが高いのは、収益性(ROE)が高いか、成長への期待(PER)が大きいからです。
4. 見るときの注意
| 見方 | 意味 | 注意点 |
|---|
| PBRが1倍を超える | 株価が、帳簿上の純資産より高い。利益を生む力(収益性や成長)が評価されている場合が多い | 期待が外れると、株価が下がることがある |
| PBRが1倍を下回る | 株価が、帳簿上の純資産より低い | 「割安」とは限らない。収益性が低い、資産の中身に不安がある、などの理由もある |
- 業種で、水準が違う。資産を多く持つ業種と、少ない業種では、普通に見られるPBRが違う。同じ業種で比べる。
- 帳簿の資産は、時価とは違う。土地や有価証券は、購入時の価格で載っていることがあり、実際の価値と離れる場合がある。
- 赤字や債務超過だと、意味が変わる。純資産がマイナスだと、PBRは計算できない。
- 自己株式の取得で、数字が動く。発行済株式数が減ると、BPSも変わる。
5. 日本で、1倍割れが注目される理由
2023年3月、東京証券取引所は、プライム市場とスタンダード市場の上場会社に、「資本コストや株価を意識した経営」を求めました。PBRが1倍を割る会社に、改善の方針や取り組みの開示を促したことで、PBRは、日本株で特によく見られる指標になりました。
6. 長期投資家は、どう使うか
PBRは、株価の水準を、資産という物差しで測るための指標です。長期では、PBRの数字そのものより、会社が、その資産を使って、どれだけ利益を生み、株主に還元するかが重要です。PBRは、ROEや、利益の推移、配当・自社株買いとあわせて見ます。
この記事は、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。例は、説明のための架空のものです。
気になる銘柄を、並べて比べる
現在価格や配当利回りなどの指標は表で、価格の推移は起点を100とした指数チャートで重ねて比較できます。
出典
- 一般的な財務指標の定義(決算短信の「1株当たり純資産」の考え方)
- 日本取引所グループ(JPX)「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」(2023年3月)
更新履歴