3行でいうと
- 幼稚園から高校までの学習費は、全て公立で約614万円、全て私立で約1,969万円(文部科学省の調査)。進路の選び方で、3倍以上の差が出る。
- 大学は、国立の標準額で4年間約243万円(授業料と入学料)。教育費は、約19年間、少しずつ家計に乗る支出で、必要な時期がほぼ決まっている。
- 長期投資家の視点では、「いつ・いくら必要か」から、お金の置き場所を考える。FIREの目標額も、教育費の期間を分けて見積もる。
1. 教育費は、いつ・どれくらい動くか
教育費が必要になる期間
幼稚園(3年)〜高校(3年)は15年間。大学(国公立4年)を含めると、約19年間。出典:文部科学省「子供の学習費調査」ほか。
教育費は、子どもが3歳ごろから22歳ごろまで、およそ19年間にわたって、少しずつ家計から出ていきます。必要になる時期が、ほぼ決まっているのが、この支出の特徴です。
2. 学校の種類で、1年あたりの費用は大きく違う
学校種別の、1年あたりの学習費(万円、令和5年度)
学校教育費、給食費、学校外活動費(塾・習い事など)の合計の平均。出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和5年度、2026年1月訂正後)。私立は、小学校で公立の約4.8倍(174万円と37万円)。
- 公立は、幼稚園で年約18万円、小学校で約37万円、中学校で約54万円、高校で約60万円。
- 私立は、幼稚園で年約35万円、小学校で約174万円、中学校で約156万円、高校で約118万円。
- 公立小学校では、学習費の約7割が、塾や習い事などの学校外活動費。学校の種類だけでなく、「学校の外で何をするか」でも、費用は変わる。
出典:文部科学省「子供の学習費調査」(令和5年度)。2026年1月16日の訂正後の値。平均値であり、地域や家庭によって異なります。
3. 進路の組み合わせで、合計が3倍以上変わる
幼稚園から高校までの、学習費の合計(万円)
幼稚園〜高校(15年間)の合計。幼稚園は、「全て私立」のみ私立、それ以外は公立で計算。全て公立で約614万円、全て私立で約1,969万円。
| 進路のパターン | 内訳 | 幼稚園〜高校の合計 | 1年あたりの平均(15年) |
|---|
| 全て公立 | 幼・小・中・高が、すべて公立 | 614万円 | 約41万円 |
| 中学だけ私立 | 公立幼・公立小・私立中・公立高 | 919万円 | 約61万円 |
| 高校だけ私立 | 公立幼・公立小・公立中・私立高 | 788万円 | 約53万円 |
| 全て私立 | 幼・小・中・高が、すべて私立 | 1,969万円 | 約131万円 |
幼稚園〜高校(全日制)の、各学年の平均年額を合計した値(文部科学省の集計方法に基づく)。大学は含みません。
4. 大学は、別に考える
文部科学省の学習費調査は、高校までが対象です。大学の費用は、別の目安が必要です。
- 国立大学(標準額):入学料28.2万円、授業料は年53.58万円。4年間で、約243万円(授業料4年分と、入学料)。
- 標準額は、文部科学省令で定められた金額。最近は、標準額を超える金額を設定する大学もあるため、志望校の募集要項で確認が必要。
- 私立大学や、自宅外から通う場合の生活費は、この金額に含まれません。
5. 投資とのつながり:「いつ必要か」から逆算する
教育費は、必要な時期がほぼ決まっているお金です。そのため、投資の考え方に、次の2つの視点が加わります。
- 必要になるまでの年数。数十年先のお金と、数年以内に必要になるお金では、値動きの影響の受け方が違う。株価は、大きく下落したあと、元の水準に戻るまでに時間がかかることがある。
- 積み立てる期間と金額。必要な金額が決まっていれば、毎月いくら積み立てるかを逆算できる。
6. FIREの目標額との関係
FIREの目標額は「年間支出の25倍」が目安です(4%ルール)。教育費は、この年間支出に、次のように影響します。
- 幼稚園〜高校の学習費を、15年間で平均すると、全て公立で年約41万円、全て私立で年約131万円。
- この金額がずっと続く支出だと仮定して25倍すると、目標額は約1,023万円〜3,281万円分増える計算になる。
- ただし、教育費は期間が限られた支出。25倍はあくまで上限の目安で、教育費の期間と、その後の期間を分けて見積もるほうが、現実に近い。
7. 長期投資家は、どう受け止めるか
- 平均ではなく、自分の家庭の進路で見積もる。公立・私立、学校外活動の方針で、合計は大きく変わる。
- 必要な時期から、逆算する。近い時期に必要なお金と、遠い時期のお金は、分けて考える。
- 教育費を、一時的な高支出として扱う。FIREの目標額や、毎月の積立額は、教育費の期間とその後で分けて試算する。
- 数字は、更新される。授業料の改定や、物価の上昇で、将来の費用は変わりうる。
この記事は、特定の進路や、投資の方法を勧めるものではありません。教育費は、家庭や地域によって異なり、ここでの数値は平均値です。
8. 子どもの年齢別:確認のチェックリスト
| 時期 | 確認すること | お金の観点 |
|---|
| 出産前〜乳幼児期 | 進路のイメージ(公立中心か、私立も考えるか) | 総額は、全て公立で約614万円〜全て私立で約1,969万円。幅が大きい |
| 小学生 | 学校外活動費(習い事・塾)の方針 | 公立小では、学習費の約7割が学校外活動費 |
| 中学入学前 | 私立・公立のどちらか | 私立中は、年約156万円。公立の約2.9倍 |
| 高校入学前 | 進路と、大学までの見通し | 高校の学習費は、公立で年約60万円、私立で年約118万円 |
| 大学入学前 | 入学料・授業料を、必要な時期から逆算して準備 | 国立大の標準額は、4年間で約243万円(授業料と入学料のみ) |
9. 前提と限界
- 学習費は、学校教育費、学校給食費、学校外活動費の合計です。通学にかかる交通費や、下宿代、大学の私立の費用は含みません。
- 令和5年度(2023年度)の平均値です。その後の物価の変化は反映していません。
- 文部科学省は、2026年1月16日に、令和5年度調査の一部数値を訂正しています。この記事は、訂正後の値を使っています。
- 合計は、各学年の平均年額を、単純に足した値です。
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