3行でいうと
- 4%ルールは、年間支出の25倍の資産があれば、毎年4%前後を取り崩しても30年は資産が尽きにくかったという、米国の過去データから出た経験則。
- 未来を約束するものではない。米国のデータ、30年、インフレ調整つきの取り崩しが前提で、日本・為替・税金・早期FIREの長い期間では、調整が必要。
- 使い方は、「必要額の目安を出す物差し」。3.0〜4.0%の幅で、自分の支出に当てはめて考える。
1. 4%ルールとは
起源は、1994年にウィリアム・ベンゲンが発表した研究と、1998年のトリニティ大学の研究(トリニティ・スタディ)です。米国の株式と債券の過去の運用成績に当てはめ、「退職の初年度に資産の4%を引き出し、翌年からはインフレ分だけ金額を増やして引き出し続けた場合、30年間資産が尽きなかったか」を調べたものです。
- ベンゲン(1994年):株式と債券を半々で持った場合、過去のどの30年でも資産が尽きなかった最も高い引き出し率は約4.15%でした(SAFEMAX)。
- トリニティ・スタディ(1998年):株式が多めのポートフォリオで4%を取り崩すと、30年で資産が尽きなかったのは、過去の期間のおおむね95%以上でした。
ここから「年間支出の25倍(=1÷4%)の資産があればFIREできる」という目安が広まりました。
2. 自分に当てはめる
| 年間の支出 | 取り崩し率 4.0%(25倍) | 3.5% | 3.0% |
|---|
| 240万円 | 6,000万円 | 約6,860万円 | 8,000万円 |
| 300万円 | 7,500万円 | 約8,570万円 | 1億円 |
| 360万円 | 9,000万円 | 約1億290万円 | 1億2,000万円 |
計算:年間支出 ÷ 取り崩し率。支出は税・社会保険料を含む実際の生活費で考えます。
年間支出300万円の場合に必要な資産(取り崩し率ごと)
取り崩し率が低いほど、必要な資産は大きくなる。下段は年間支出に対する倍率。
4%ルールの答えを、「FIRE達成」の境目に置く
黒い線は、06(FIRE直前)と07(FIRE達成)の境目=目標額の100%。年間支出ごとに、この線の金額が変わる。みんなでFIREのステージは、目標額に対する達成率(0%・10%・30%・60%・80%・90%・100%)で決まる。
たとえば、年間支出が300万円なら、4%で7,500万円、3.5%で約8,570万円、3%で1億円です。取り崩し率を少し低くするだけで、必要額は大きく変わります。
ここで大事なのは、「FIREに必要な金額は人それぞれ」だということです。みんなでFIREでは、目標額に対する達成率でステージが決まります。自分の年間支出から出した4%ルールの答えを目標額(=達成率100%、「FIRE直前(06)」から「FIRE達成(07)」に入る境目)に置くと、自分専用の物差しになります。年間支出300万円なら7,500万円、240万円なら6,000万円、360万円なら9,000万円が、その境目です。
3. 「そのまま使えない」理由
- 米国の過去データであること。日本株・円資産・為替を含めた日本の個人にそのまま当てはまるとは限りません。過去の最悪期間を基準にしていますが、未来が過去より悪い可能性もあります。
- 30年を想定していること。30代・40代でFIREすると、期間は40〜60年になりえます。期間が長いほど、安全に取り崩せる率は下がり、3.25〜3.5%程度が目安と言われます。
- 税金と手数料が入っていないこと。売却益には原則として20.315%の税金がかかります(NISA口座は非課税。制度は2026年時点の一般的な内容です)。運用コスト(信託報酬など)も差し引かれます。
- 最初の数年の下落に弱いこと(順序リスク)。取り崩しを始めた直後に大きく下がると、その後に回復しても、資産が戻りきらないことがあります。
- 支出が一定とは限らないこと。実際には、相場が悪い年は支出を減らす、収入を少し得る、といった調整で、資産の寿命を延ばせます。
4. 実際の使い方
- まず、自分の年間支出を出す。それが、目標額の出発点です。
- 幅で考える。「4%なら◯円、3.5%なら◯円、3%なら◯円」と3つ出し、真ん中あたりを目標の目安にします。
- 到達の見込みを確認する。みんなでFIREのFIRE到達予測は、楽観(年率7%)・中立(4%)・悲観(1%)の固定シナリオと、あなたの実績シナリオで、目標額に到達する年齢を比べられます。
- 走りながら見直す。支出が変われば、目標額も変わります。1年に1回は更新しましょう。
5. 長期で積み立てる人にとって
4%ルールは、「FIREがだいたいどのくらいの金額で成り立つか」を知るための、最初の物差しです。ゴールの金額が見えると、毎月の積立を続ける意味がはっきりしてきます。ただし、数字は目安で、約束ではありません。余裕を見て低めの取り崩し率で考え、実際に取り崩すときは、相場や支出に合わせて調整する前提で使うのが現実的です。
FIREまで、あと何年かを予測する
楽観・中立・悲観の3つのシナリオと、あなたの実績ベースのシナリオで、FIREの到達年齢を比較できます。
出典
- William P. Bengen, "Determining Withdrawal Rates Using Historical Data", Journal of Financial Planning, 1994年10月
- Cooley, Hubbard, Walz, "Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable", AAII Journal, 1998年(トリニティ・スタディ)
- 原典での数値の確認をおすすめします。上記の数値は、これらの研究の要点を一般的に紹介したものです。
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